ビジネス書のあさ出版
ADD(注意欠陥障害)について述べ、話題の本書。自身もその傾向があると語る双田さんに、このADDについて、本では書ききれなかったことなど、いろいろとうかがってみました。



―――まず、ADDとはどういう障害なのかについて教えていただけますか。

 最近、脳神経科学の分野では、人間の脳の活動状況を把握することができるようになってきました。これによって、人間のさまざまな行動は、その人特有の脳のしくみからもたらされるものであることが明らかになりました。
 ADDとは注意欠陥障害と呼ばれる脳の障害のことをいいますが、前頭前野という額の裏側に位置する部分の活動が低下しやすく、意欲や集中力が失われたり、行動の抑制が難しかったりする傾向があります。
 ADDに典型的な事例としては、「整理整頓ができない」「遅刻癖」「スケジュール管理が苦手」といったことが挙げられます。
「障害」と診断されるところまではいかなくても、先に挙げたような特徴が顕著に見られる人は、ADDの素養を持つ可能性が高いと考えてさしつかえないでしょう。
 ADDの傾向がある人々は、その数から考えても見過ごせない存在です。ちなみに本書ではADDのケがある人を、ADD的人間と称しています。






―――本書でも解説されていましたが、ADD的な特徴は先天的なものなんですよね。

 そうなんです。ADDは生まれつきの遺伝的なもので、根本的に治療することはできません。ADDである人は生涯ADDというわけです。

「だからといって、心配することはない!」

本書を通じて、読者の方に最も伝えたかったのはこのことにあります。
 ADDの人、あるいはADD的人間は創造力にあふれており、好きなことに取り組んでいるときには、素晴らしい行動力・集中力を発揮できるといった、欠点を大きく補うほどの「才能」があるのです。






―――なるほど。そこで、そうしたADD特有の「才能」を大きく伸ばすための方法論を考案したと。

 ジャーナリストとして経営者やビジネスパーソンなどにインタビューする機会があったときに、彼らのなかにも「まさにADD(的人間)ではないか」と思われる方々がいました。そうした方々の仕事術について取材した内容を、ADDの当事者やADDのケがある人向けに、仕事ができるようになるためのノウハウとして、具体的な方法論にまとめあげました。
 その詳細については本書を読んでいただきたいのですが、仕事や私生活などの案件を整理するためのプログラムである「GTD」や、絵や記号を用いて自由自在にアイデアを書き込む「マインドマップ」など、一般的にも知られている仕事術をADD向けにアレンジ・統合して紹介しています。






―――双田さんは本書で、「社会がもっとADDの才能を活用すべきだ」とおっしゃっていますね。

 ADDの人は「だらしがない」とラベリングされがちですが、彼らの「才能」をうまく活用することが、今後のビジネスの世界では重要になってくると思われるからです。

―――なぜ、ビジネスの世界でADDの「才能」が必要になるのですか。

 ビジネス界の変化の潮流は非常に早く、そのスピードに合わせて、「とにかくチャレンジしてみて、うまくいかなかったらすぐに撤退する」といった、旺盛な行動力と柔軟性が求められています。
 こうした特性は、まさにADD的といえるでしょう。リスクをおそれない心、あふれる創造力、強い好奇心、フットワークの軽さなど、ADDのポジティブな面をうまく活用すれば、この経済の激動期に大きく羽ばたくことができるはずなのです。





―――ADDではない人たちはどうすればいいのでしょうか。

 人口の多数を占める非ADDとADDは車の両輪のようなものです。非ADDの人が綿密な計画を立てて、ADDの人はそれに沿って前線で行動を起こす。このような関係が生まれれば、お互いに足りない部分を埋め合わせることで、その生産性が何倍にも増すのではないでしょうか。

―――では最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします。

 本書を読めば、ADDの人、あるいはADD的人間が自身の能力を最大限に発揮するための方法論を身につけることができます。また、非ADDの方でもADDの能力を引き出すことによって、自身が所属する集団や会社に大きな恩恵が得られることと確信しています。





●プロフィール
双田 譲治(そうだ・じょうじ)
1974年生まれ。東京大学文学部英語英米文学科卒。大学卒業後、葬儀業、郵便局をはじめ数々の職業に就き、日本インターネット新聞社で記者職を務めた後、編集プロダクション勤務を経て、ジャーナリストに転向。各種週刊・月刊誌にビジネスから医療、漫画原作まであらゆる記事を執筆。著書に『育毛物語』(コモンズ)がある。



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